第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
空は曇天。
海は朝凪。
クライガナ島においては、今日ほど出航日和の日はないだろう。
二年ぶりの仲間との再会を目指し、久しぶりに海へ出るゾロは空を見上げた。
ルフィ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン、フランキー、ブルック。
きっとそれぞれが強くなって、シャボンディ諸島を目指しているはず。
“3D2Y”
ようやくその時が来た。
「・・・行くか」
ミホークが用意した小型ガレオン船の前で刀を差し直していると、上から怒声が飛んでくる。
「何ぐずぐずしてんだ、ロロノア!! 日が暮れちまうぞ」
「・・・おい、おれはテメェが付いてくることに、まだ納得してねェぞ」
ペローナもゾロと一緒にシャボンディ諸島に行くと聞いたのは昨日の夕食のことだったが、反対したのはゾロだけだった。
ミホークもクレイオも、それが当然とばかりにゾロの言うことに耳を貸さなかったのには腹立たしさを覚える。
「お前が無事に辿り着けるよう、私が付いていってやるんだ。ありがたく思え」
「おれ一人で十分だ」
「何言ってんだ! 未だに一人じゃこの森すら抜けられねェお前が! いったいどうやったらシャボンディ諸島まで行けるっていうんだ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「麦わら達と合流できず、置いてけぼりを食らうのがオチだぞ」
それを言われたら、“確かに、ナミならやりかねねェ・・・”とゾロは口をつぐむしかない。
「分かったなら、さっさと荷物を運べ!」
「お、おい、なんだこの荷物の山は・・・?!」
ゾロの目の前には、木箱の山々。
その一つ一つには水や食料、ゾロ専用の酒と、ペローナ専用の菓子が詰まっている。
「酒だけでいいだろ・・・だいたい、なんでシッケアールを離れてまでペローナに付き合わなきゃならねェんだ」
ブツブツと文句を言いながらも素直に荷物を運んでいるゾロに、クレイオは小さく噴き出した。