第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「お前がどんだけ傷モンになろうが、ゴリラみてェになろうが、おれは構わねェし、萎えることもねェよ」
その言葉を証明するように、二度ほど射精した性器はまだ硬いまま。
クレイオを安心させたいのか、それとも自分の熱を移したいのか、濡れたそれをヒタリと恥丘の上に乗せる。
「手足が欠けてもいい・・・どんな身体になってもいい・・・けど、死ぬことだけは許さねェ」
ビクンビクンと脈打っているゾロの男根は、そのまま彼の心臓の鼓動を表しているようだ。
胸がドキドキするのと同時に、苦しいほどの切なさを覚える。
「お前を殺すのはおれだ」
ミホーク・・・
今ならあんたがクレイオの母親を処刑した村人達を殺し回った理由が分かる。
「おれの手で終わらせるか・・・おれの腕の中で終わるか・・・お前の命の最期はそのどちらかだ」
けれど、いくら惚れた女が望んだこととはいえ、おれだったら火あぶりにさせはしない。
惚れた女を失うのも、私怨で他人を殺すのも御免だ。
「お前が誰かを殺そうとしたら、おれがお前を殺す。同時に、誰かに殺されるくらいなら、やはりおれが殺してやる」
大切な奴のためならば、世界を敵に回してもいい。
“麦わらの一味”はそういうブッ飛んだ奴の集まりだ、だから諦めろ。
「本当に・・・最低な男」
ゾロの頬に触れる、クレイオの手。
「なら、貴方も約束してよ」
親のいない子ども達の頭を撫でる時のように優しい手つきで、傷で閉じてしまったゾロの左目や鼻、口に指を這わせていく。
「私の知らない所で勝手に死なないで───」
私の命の最期は、貴方のそばだと決まっているのでしょう?
たとえ、麦わらのためだろうと、どうかもう二度と自分の命を自ら捨てるようなことはしないで。
「・・・当たり前だろ」
ゾロはクレイオの手を掴むと、その指にキスを落とした。
それは約束の証。
「何のためにこの二年間、仲間と離れて修行したと思ってんだ」
“どうやら野心に勝るものを見つけた様だな”
ああ・・・見つけたよ。
それも一つじゃねェ。
それらを守るためとはいえ、もう二度と命までかけなくてもいいように、おれは強くなったんだ。