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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)




「一日お預けにされたあげく、明日はもう出発だ。今夜しか時間がねェんだから、諦めろ」

ゾロは乱れたシーツの中で仰向けになっているクレイオを見下ろし、意地悪そうな顔で口角を上げた。
一度火がつくとその熱が収まるまで容赦しないのは、一年前から変わっていないようだ。
そんなゾロの顔を仰ぎながら、クレイオは呆れたように肩をすくめる。

「言われなくても、夕食を食べ終わったと同時にみんなの前で担がれた時に諦めた」
「そうでもしねェとお前、またペローナの部屋に行っただろ」

ムッと口を尖らせたゾロは、腹いせとばかりに激しいキスの余韻で赤くなっているクレイオの唇を塞いだ。

シッケアール国に飛ばされてから、もうすぐ二年。
ミホークとの修行を終えたゾロは明日、麦わらの一味と再会するためこの島を出る。
そのゾロを見送るため、クレイオが“赤髪”傘下の海賊団にクライガナ島まで連れてきてもらったのは昨日のことだが、その日の夜はペローナに朝まで捕まってしまった。

「あの野郎、絶対に確信犯だ。今朝、おれに“ざまあみろ”ってツラしてやがったからな」
「でも、ミホークと四人そろって食事をする機会は、もうないかもしれないのに。もう少しゆっくりしても良かったじゃない」
「オイ、お前はペローナに会いに来たんじゃなくて、おれを見送りに来たんじゃねェのか」

ゾロは一年前と比べてかなり覇気が上がっているし、剣士としても箔が付いた。
こうして向き合っているだけでピリピリするほどその存在感は圧倒的なのに、我が強くて俺様な性格は相変わらずのようだ。

「まったく・・・そんなんじゃ、“子ども”達と変わらない」
「まさか、教会のガキ共とおれを一緒にしてんのか?」
「貴方にそっくりな男の子がいるのよ。頑張り屋なんだけど、他の子達と馴染めずにいつも一人でいる子が」
「・・・そうかよ」

子どもと同等に扱われるのは気に入らない。
だがゾロは、子ども達の話をしている時のクレイオの顔を見るのが嫌いではなかった。








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