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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)









久しぶりに乗る船の頭上には、どこまでも広がる青。
見上げれば、カモメが終わりの無い空へと向かって飛んでいる。

クライガナ島はもう、その形すら見えない所まで離れてしまった。


「・・・うわぁ・・・久しぶりの青い空」


海に出ると、いつも思う。
なんて世界は広いのだろうか、と。


レッド・フォース号の甲板で、バラバラになってしまったロザリオの珠を繋げながら、クレイオは一面の海原を見つめていた。


「もう親父が恋しくなったか?」

後ろから声をかけてきたのは、この船の船長。
一晩ミホークと飲み明かしたせいか、吐く息は少しアルコール臭いが、いつもと変わらない顔をしている。

クレイオはそんなシャンクスを見て、笑顔で頷いた。

「うん、恋しい。まさかこんな気持ちになるとは思わなかった」
「なら引き返してもいいんだぞ・・・と言いてェところだが、それはないか」

シャンクスも潮風に赤髪を揺らしながら、進行方向を見つめた。
母親の故郷に帰りたいとクレイオが言った時は驚いたが、それが彼女の決断ならば後押しするしかない。


「ありがとう、シャンクス」


クレイオはふと手を止めると、ラピスラズリとローズクオーツの石を入れた箱を大事そうに抱えながら微笑んだ。


「貴方がいなければ、私は罪を犯し続けていた」


感情のままに人を殺し、いずれは海軍によって処刑されていただろう。
こうして生きていられるのは、幼い頃にシャンクスが自分の罪をきちんと理解させてくれたからだ。


“どのような理由があろうと、人が人を殺したらその償いはしなければならない”


「貴方が私に剣の扱い方を教えてくれたから、私はあの地獄のような島でも生き延びることができた」


貴方が私の師匠になってくれて、本当に良かった。


「おかげで私は、罪を償うため、そして夢を叶えるため、自分の足で歩いていくことができる」


シャンクス、貴方には感謝してもしきれない。


「シャンクスという偉大な海賊に出会わせてくれたことを、私は神に感謝したい」


まだ未完成のロザリオを握りしめ、クレイオはシャンクスに敬意を込めて頭を下げた。







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