第1章 始まりと終わりの町(シャンクス)
「ゴア王国って知っているよな?」
「ああ・・・このイーストブルーで最も美しいと“されている”国ね」
不要なものは“ゴミ”として徹底的に排除し、結果的に美しい国となったゴア王国。
最も蔑むべき、隔離社会だ。
「その端っこにフーシャ村っていう村があってな。面白ェガキがいるんだよ」
「子ども・・・?」
「そいつ、“海賊王になる”って言い出すかと思えば、今度はおれ達の船に乗りてェって言って聞かなかった。海賊になりたいのは、“自由”だからだそうだ」
その瞬間、クレイオの心臓がドクンと音をたてた。
海・・・賊王───
自由・・・?
“おれはロジャー。お前の名前は?”
「誰かに似ていると思わねェか?」
“お前の“声”はちゃんと聞こえているぞ。おれと一緒に来い”
“お前を解放してやる。海賊になりゃ自由になれるぜ、たとえ“時”からだろうとな”
グランドラインに浮かぶ小さな島で、人目を避けるように生きていた自分に、ある日突然現れた男はそう言った。
そして、無限に続くこの孤独を終わらせてくれた。
「ロジャー・・・」
「ああ・・・あいつはロジャー船長にそっくりだ」
シャンクスも、生前の海賊王の姿に重なる無鉄砲な少年を思い出し、その顔に優しい笑みを浮かべる。