第4章 雪原の皇子
キャラバンの窓の外は、徐々に白銀の世界へと変わりつつあった。
雷門イレブンの一行は白恋中学のエースストライカー、吹雪士郎をスカウトする為に遥々北海道へとやってきていた。気温はマイナス、キャラバン内でも窓の近くにいれば寒さを感じるほどだ。花織は隣に掛けている鬼道と窓の外を見ながら話をしている。
「凄い雪ですね。東京じゃ、こんなに降らないですし」
「ああ、そうだな」
あの話の後も、鬼道が所望した通りふたりの仲が変化することは無かった。いつものように言葉を交わし、いつものように笑いあう。鬼道の心情はどうであれ、ふたりは友人同士として接し合うことにしたのだ。花織はそれに対して心苦しく感じていたが、鬼道がそうしてほしいというのだからそうするしかないだろう。
「私、雪が凄く好きなんです。綺麗で儚くて……、ひとつひとつ結晶になっているのを眺めてるとなんだか感動しちゃうんです。自然って凄いなあって」
「ほう。俺はてっきり雪遊びが好きなのかと思ったが……、お前の趣味は高尚だな」
少し茶化すような口調で鬼道が花織に言う。こういう言葉を掛けるのも友人として意識するためだろうか、以前にはあまり見られなかった言葉だと思う。
「雪遊びも好きですよ。雪合戦なんて特に燃えますよね!……でも、生憎寒いのはちょっと苦手で」
子どもらしい微笑を浮かべて花織が言う。花織は寒いところが苦手だった。スポーツをすれば暖まるから普段はあまり気にしないのだが、寒い中に何もしないで突っ立ていると凍えて死んでしまいそうになる。多少大げさなたとえではあるが……。そんな彼女は唐突に思い出したように声を上げるとスカートのポケットから何かを取り出した。