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嫉恋

第2章 想いのすべて




「で、どういうことなんだよ"それは違う"って」
「監督は、奴らを使って俺を特訓してくれたんだ」

つまりは、こういうことらしい。成長のためには実戦経験を積むのが一番である。そのため、ジェミニストームの選手たちにシュートを多く打たせることで円堂を奴らのシュートに慣れさせようとしたのだと。……彼は少しポジティブに考えすぎではないだろうか。

「監督は今日の試合を捨てて次の試合に勝つために僕たちの身を守り、円堂君にキーパーの練習をさせていたということですね!」

目金が総括して意見を述べる。そうだったのか……、という空気が最後まで監督の意見を認めようとしていなかった染岡までもを包み始める。それでも花織は監督に対しての不信感を拭えないでいた。それもすべて推論だ、監督が本当にそう思っているかそれが定かではない。

花織がそれを口にしないのは、"監督は凄い!"とまとまり始めているチームの雰囲気を壊したくなかったからだ。選手たちが納得できたのならば、それでいいと思う。花織はプレイヤーである前にマネージャーだ。花織は静かに鬼道の元へと歩み寄る。そして静かに鬼道に問いかけた。

「鬼道さんはそう、お思いなんですね?」
「ああ……。どうした?花織」
「いいえ。ただ……、私にはそうは思えないと感じただけです」

小声ではあったが、花織の声は鬼道が聞いたことの無いほど冷え切っていた。鬼道は花織を振り返る。花織は澄ました様子で立っていたが、花織の真意は見て取れた。彼女は鬼道の推論に毛ほども納得していないのだろう。鬼道が花織の意見を貰おうと言葉を掛けようと肩を叩く。

「あ、監督……」

壁山が瞳子の姿を捕えて呟いた。現れた瞳子監督が音も立てずに静かに選手たちに歩み寄る。自分を見つめる尊敬のまなざしを無表情に見据えながら瞳子が立ち止まる。そして予想だにしない言葉をいつものように静かな口調で口にした。

「豪炎寺くん、貴方にはチームを離れてもらいます」

チームの雰囲気を壊したくない、そんな気遣いを彼女がするまでもなかった。

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