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嫉恋

第14章 喪失の余韻




「何でお前は俺に構う」
「貴方は……」

花織の表情が少し曇った。彼女の表情の変化に、吹雪は花織が自分に対して普段と違うことを感じ取ったようだと思う。鈍感なチームメイト達と違って士郎が縋りたいと思っただけはある。一応、花織は士郎とアツヤを見分けているようだ。自信のなさそうな面持ちをしているが。

「前にも言ったが俺に構うな。目障りなんだよ、お前」

吹雪は鬱陶しげに花織を見やった。実際、吹雪にとって複雑なものである。彼の中のアツヤは彼を支配しようとしているのに、花織が士郎を呼ぶたびに主人格が引きずり出される。

「……本当に貴方がそう思っているなら私は貴方に構う気はない。でも、士郎くんが1人で悩んでいるのをみすみす放って置けない。だってチームメイトだもの」

花織は凛とした様子で断言した。吹雪はそんな花織に苛立ちを募らせる。分かったような口を利く、士郎のこともアツヤのことも知らないくせに。それにチームメイトだから、という理由で吹雪に構おうとするのも何となく気に入らなかった。

「本当は士郎の心配なんてしてもねえくせに……」
「え?」

ぽろりと吹雪の口から彼の本音が漏れた。花織は驚いた様子で目を見開いた。吹雪が何を言いたいのか分からなかったようだ。察しの悪い女、吹雪はこぶしを握って花織を睨み付ける。そして士郎が見ない様にしていた真実を、彼はぶちまけた。

「お前が心配しているのは吹雪士郎じゃねえ!」

その言葉は吹雪にとっても花織にとっても残酷な言葉だっただろう。

吹雪の言葉に明らかに花織は動揺していた。ずきん、と吹雪の痛い指摘に鋭い胸の痛みを感じる。彼女は吹雪士郎を心配していた、心配しているつもりだった。彼が壊れてしまわない様に仲間として、彼を守りたいと思った。

でもその根幹には彼女の恋人の存在があった。彼のような人を出したくない。彼の戻る場所を守りたい。その行動原理は全て彼に基づく。

決して吹雪を心配していないわけではない、ただ彼だけを心配しているわけではないのだ。

「私は……」

花織が弁明の言葉を紡ごうと口を開く。刹那、グラウンドの方から眩い閃光と爆音が響き渡った。
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