第13章 絶望に染まる
それが花織の決めた答えだ。花織は静かに瞳子に頭を下げる、そして静かに瞳子に頼んだ。
「だから彼が戻ってきたとき、彼がチームに加わることを許してください。……それだけです」
花織は頭を上げ、瞳子を避けて吹雪の病室へと入る。静かな病室、彼はまだベッドに横たわっているようだ。花織は吹雪の顔を見つめる。苦しげな彼の表情、彼が戻ってくるためにも花織は吹雪のことも守ると決めた。吹雪の心が壊れてしまわないように全力を尽くす。それが今の花織にできることに違いない。
花織は無意識に吹雪を風丸に重ねていた。思い悩む彼を救えなかったから、思い悩む吹雪を救おうとしている。
「花織……、さん」
花織は振り返った、人の気配に気が付いたのかうっすらと目を開けた吹雪が花織を呼ぶ。花織は吹雪のベッド脇のいすに腰掛けた。そして視線を合わせ、吹雪を見つめて花織は微笑む。瞳の奥に自分の恋人への揺るぎない想いを宿しながら。
「どうしたの?……士郎くん」
彼女の胸に飾られた、彼からの贈り物が夕日を受けて煌めく。彼の戻る場所を守る、彼がここへ戻ってくるそのときまで。
これが花織の風丸に対する贖罪だ。