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嫉恋

第12章 心の均衡




二人の少年が酷く深刻な悩みを抱えていた。その悩み、一人は顕在化するほど追いつめられ、周囲から徐々に異変を悟られつつあった。しかしもう一方は悩んでいること自体をひた隠しにしており、誰にも彼に最も近しい人にも明瞭に悟られてはいなかった。この二人の少年の悩み事は違うように見えたが、実の所根底は同じものであった。

――――力が欲しい。

誰よりも強い力を彼らは心の底から求めていた。

***

福岡のとある中学で円堂大介のノートが発見されたらしい。

そんな話が円堂らの元へと舞い込んできた。何でも響木監督がずっとエイリアの調査を続けていくうえで知り得た情報なのらしい。そのノートを手に入れるため、一行は福岡にある陽花戸中学へと向かうことになった。

「じいちゃんのノートか!きっとスッゲー技が一杯載ってるんだぜ!楽しみだよなあ!」

風丸の隣で円堂が燥いでいる。円堂の祖父、円堂大介はサッカーにおける必殺技をいくつかのノートに残している。円堂にとってみればそれは大切な祖父の形見であり、強くなるための足掛かりになるものであった。

「エイリア学園を倒すためにきっと役に立つはずだ!な、風丸、月島!」
「……ああ、そうだな」

風丸が心なしか低い声で円堂の言葉に返答した。風丸は俯く、新しい必殺技を仮に修得できたとしてエイリア学園に勝てるだろうか。奴らとは根本的に力差があるような気がしてならない。前回イプシロンと引き分けてからずっと考えている。自分たちの努力を遥かに超えた強さでエイリア学園の新たなチームが現れるかもしれない。

「ん?風丸何か元気ないな……、ってああ、月島が寝てるのか」

円堂は風丸の声のトーンの変化に気が付いたようだが、それは風丸の隣で眠っている花織の為だと思ったようだ。現在、シートには通路側から円堂、風丸そして花織の順で腰かけている。風丸がたとえ幼馴染であろうと円堂の隣に花織を座らせるのを嫌ったためだ。

そして現在、花織は風丸の肩に凭れてすうすうと寝息を立てている。今朝大阪を出発したばかりなのだが、彼女は夜遅くまでナニワの練習所で練習をしていた為、寝不足気味だったのである。円堂が同じシートで騒いでいても目が覚めないほど、彼女はぐっすりと眠りこんでいる。
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