第10章 戦士の休息
「にしてもごめんな。チームの皆にもあんまりアンタの彼氏で遊ばんよう言うとくわ。アンタの彼氏、ダーリンには及ばんけどまあ男前やし、みんな結構興味持っててん」
「そう、ですか……」
リカの言葉に花織が眉を顰めた。やはり彼は女の子から人気があるのだ。彼が人に好かれる容姿、人柄をしているのは自分がよく知っているからもちろん当たり前だと思う。だがそれでも嫌なものは嫌なのだ、これをあからさまに風丸にぶつけられるところが彼と花織の相違点だと言える。
「ああ、もう!そないな悲しそうな顔せんといてや!ちゃんと皆には言うとくから!」
「ありがとうございます。……私、そろそろご飯を作りに行かないと。浦部さん、それじゃあ」
時間を確認してみるともう十五分ほど彼女と話し込んでいたらしい。そろそろ仕事に戻らなければ秋たちに迷惑が掛かってしまう。花織が会釈をすればリカは慌てた。リカはその場を立ち去ろうとした花織の肩を掴む。
「ウチ、アンタと彼氏の話もっと聞きたいんや。後ででええから一緒に話しせん?じっくり乙女の恋心について語り合おうや」
リカの申し出は正直花織にとって魅力的だった。今まで話していて、思ったよりもリカが悪い人ではないとわかったし、とても話しやすい人であった。それにとても聞き上手であるような感じがする。花織も今まで身近にいたことの無いタイプの女の子であったから彼女と話をしてみたかった。
「いいですよ。ではまた後で」
「ちょい待ち。ウチ、アンタの名前聞いてへんかったな。名前は?」
「月島花織です」
そういえば名乗っていなかったなと、花織はリカに名前を告げる。リカは花織の名前を聞くとええ名前や、と屈託なく笑い、花織の肩を叩く。
「花織、ウチのことはリカって呼んでな?その堅苦しい敬語はもう無しやで!」
ひらひらと手を振りながらリカは再び練習所の方へと駆けていく。ダーリン!と彼女が一之瀬を呼ぶ声が聞こえた。花織は微笑む、良くも悪くも素直な子だなと思った。ゆっくりと彼女と話ができる時間を楽しみにしながら花織は練習所を後にした。