第7章 瞳に映る君
エイリア学園の脅威は終わらない。だが、それでもイナズマキャラバンには一種の安堵の様な空気が流れていた。何しろあれだけ派手に破壊活動を繰り広げていたジェミニストームをひとまず倒したのだ。それを思うと今度の敵だってどうにかなる、皆がそう思っていた。少なくとも今の時点では。
だからだろうか、今このキャラバン内には比較的ゆったりとした空気が流れている。夕食を済ませ、各々外で過ごしたり、キャラバン内で過ごしたりと様々だ。
風丸は現在、キャラバンの中で静かに一人で時間を過ごしていた。円堂は今、塔子とどこかへ行ってしまっているし、染岡は風丸の隣列の席で吹雪と話をしていた。目金と一年生たちは後部座席のほうでカードゲームらしきことをしている。何より、彼の恋人である花織はマネージャーの仕事で外に出ていた。
唯一、前方に座る鬼道だけが風丸のようにひとりで席に掛けているが、彼には話しかける気になれなかった。別に鬼道とは仲が悪いわけではないが、何となくそういう気分ではない。何より花織とよりを戻した今、用もないのに声を掛けるというのがどうも気まずい。
「ねえ風丸、今暇してる?」
そんなふうにぼんやりと時を過ごしていた風丸に、一之瀬が声を掛けた。風丸が驚いて振り返ってみると、背後の空いている席から一之瀬と土門がひょっこりとこちらに向けて顔を出している。
「ああ、別に暇だが……。何か用があるのか?」
「いいや、ただ良いモン見せようかなと思ってさ」
「良いもの?」
にやにやした土門の表情に、不思議そうに首を傾げながら風丸は彼らの方へ身体を向ける。いったい何を見せてくれるのか興味はあるようだった。土門は勿体ぶる様にそれを取り出すと、ほらと言って風丸の前に翳した。