第1章 甘い野獣(銀時甘裏)
ソファで抱かれたあと、今度は何も身につけない姿のままで、銀さんの布団に連れて行かれた。
布一枚隔てることなく、そこここに傷跡のうっすらと残る身体に抱かれる。
「もっと美咲を味わっていい?」
「ん……」
返事ごと唇を奪われ、快楽の淵へ沈む――。
何度も何度も絶頂に達して、私は途中で落ちてしまったらしい。
気がついたら、裸のまま銀さんに抱かれ、布団にくるまっていた。
男の人の肌のぬくもりをこんな風に心地よく感じることができるだなんて。
信じられなかった。
銀さんに、好きだと言われ、何度も絶頂に突き上げられて、今こうやって何も身につけない姿で抱かれていることが。
「美咲、気がついた?」
「あ……ごめんなさい……」
「何が?」
「私……落ちちゃってたのね?」
「可愛かったよ」
「え……」
「俺の腕の中で何度もイかされて、狂っていく美咲見てるの最高だった」
「だ、だって……」
「だからもう、その、『ごめんなさい』って言うのやめろよな」
「え?」
「美咲は何も悪くねえの」
銀さんは私の頭をなでた。
「どんな美咲でも、銀さん受け止められるから。だからもう、『ごめんなさい』なんて、言うな」
「ごめんなさい……あ……っ」
「オイオイ」
銀さんがくっくっと笑った。
「しょうがねえなあ。じゃあ、今度から、『ごめんなさい』って言ったごとに、銀さんにチョコレートおごること」
「ええっ」
「とりあえず、ホワイトデーのお返しは、今の『ごめんなさい』で相殺」
「え、今のもカウントされるの?」
「ははは。うそうそ。三倍返ししてあげるよ」
「ほんと?」
「そう、三倍イかせてあげる」
「そっち?」
「そ。……なあ、もっかい入れていい?」
「えっ?」
「銀さんさあ、基本的に三度寝したいタイプなんだよね。だから美咲もつきあって」
2月14日……、いや、2月15日午前0時。
私たちはお互いのぬくもりを感じていた。
滑らかな肌に抱きしめられながら、甘い睦言を交わす幸せ。
甘い獣に魅入られたら、逃げるなんてできない。
この鎖で、これからもずっとずっと縛ってほしい……。