第1章 甘い野獣(銀時甘裏)
銀さんは頭をガリガリとかきながら言った。
「だめだな、俺。本当に好きな奴を前にすると、気持ちが暴走しちまって」
寂しそうな瞳だった。
すっと身体が離される。
「ごめんな。美咲を傷つけるつもりじゃなかったんだ」
吐き出すような言葉に、私は思わず銀さんの身体に抱きつくようにして叫んだ。
「違うの!」
いや、抱きついたというよりは、ほとんど体当たりしたという方が正確かもしれない。
「うわっ、ちょちょちょ」
銀さんは後ろに倒れながら私の身体を受け止めた。
「違うの、銀さん」
「何が違うの?」
「私のこと、軽蔑した……でしょう?」
「どうして?」
銀さんは不思議そうに私を見た。
「だって、じ、自分から、な、生で入れてほしい、なんて……」
「何で軽蔑するの?銀さんに抱かれたいって思ってくれたんでしょ?」
私はこくこく、と必死でうなずく。
「銀さん、すげえ嬉しい」
銀さんは身体を起こし、ちゅっ、とキスをしながら私をゆっくりソファに横たえた。
下から見上げる銀さんの瞳は、いつもの死んだ魚のようなそれではない。
甘い毒で女をしびれされる、獣の瞳だ。