第1章 甘い野獣(銀時甘裏)
自分の口から出た言葉が信じられなかった。
銀さんのものを頬張った挙げ句、生で入れて欲しいとねだるなんて。
でも、銀さんがキスをしてくれたときから身体は熱を帯び、銀さんの手が身体に触れるたびにとろとろにとかされていた私は、つい本音のおねだりをしてしまったのだ。
どんなに銀さんは私のことを軽蔑しただろう。
穴があったら入りたいとは、このことだ。
だが、身をよじっても、しなやかで屈強な銀さんの身体は、私を離してはくれなかった。
「何で逃げるの?」
私はいやいやをするように首を振る。
腕で目を隠す。
これ以上銀さんに見られているのに耐えきれなかった。
身も世もなく嬌声をあげていたのは、私の方。
身体じゅうが銀さんに触れられることを喜び、欲しい欲しいとあさましくねだっている。
私をのぞきこむ銀さんの瞳には、あさましく色を帯びた私の姿が映っているだろう。
しばらくの沈黙のあと、銀さんは静かな声で言った。
「銀さんに入れられるの、嫌になった?」
「え……?」
思わず銀さんの顔を見る。
寂しそうに銀さんが私を見ていた。
なんで、なんで銀さんが、そんな瞳で私を見るの?
「男で嫌な思いをしたばかりなのに、こんな風にいきなり襲いかかられて、嫌だったよね」
違う。
違うの。
銀さんに抱かれるのが嫌なんじゃなくて。
こんなあさましい自分が、嫌なだけ……。