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彼女はボクに発情しない

第23章 物想う秋への間奏曲


☆☆☆
また、目が覚めた。時計を見ると、午前3時だ。
先程から、4回位目が覚めているので、1時間おきに目覚めている計算だ。

眠りが浅いなぁ・・・。
私はゴロンとベッドで寝返りを打った。しばらく頑張って目を閉じていたが、やっぱり眠れなかった。眠気はどっかに飛んでいってしまったようだ。

仕方なく、私は起き出して、家の屋上に向かった。
一人になりたいときよく来るところだ。
扉を開けると、まだ暑さの残る晩夏の夜とはいえ、清涼な空気が肌に当たって心地良い。先程までちょっと息苦しく感じていたのだと、今更ながらにわかる。

2度、3度、深呼吸をする。周囲を見渡すと、しんと暗く沈んだ住宅街ではあるが、やはりポツポツと明かりが点っているところもある。

起きている人がいるのかな?

眠れない理由はわかっている。今日はもう日付が変わって9月2日だ。学校の初日。夏休みが明けて最初の登校である。

ちゃんと陽太くんを賭けたデートをしてから、約半月強、私は特に陽太くんと連絡を取り合うことはなかった。

連絡しあえるような仲に、結局なれなかったから。連絡する理由がなかったから。
たくさん原因はあったが、結局、そのどれもが正しくはない。言い訳にすぎないことくらい、自分が一番良く分かっている。

要は連絡をする勇気がなかったのだ。

でも、今日は後数時間に嫌でも同じ教室で顔を合わせることになる。

陽太くんにどんな顔で会えばいいんだろう。
陽太くんとちゃんは、どんな風になっているのだろう。

ちゃんは『キスしてもらえなかった』と言っていたけど、ふたりの関係が進展してしまったのは必至だ。

あーあ、あんな勝負、持ちかけなければよかった。

一応ルリには事の次第は話していた。そして、彼女からは『べっつに振られたわけじゃないんでしょ』という、至極ルリらしい回答を得ていた。

「忘れられる・・・?」

ちょっと口に出してみる。言葉にすると、それは金属のようにとても冷たくて無機質に響いた。ゴツゴツとしたその塊は、喉につかえて、とてもじゃないけど飲み下すことなどできない。

私の姿を見て、『素敵』と言ってくれた。
手を繋いで、一緒に歩いてくれた。
空を見上げる横顔。意外に長いまつげにドキッとした。
そして、抱きしめてくれた。
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