第17章 恋敵協奏曲
笹本さんは、私のことをどう思っているんだろう?
彼女も気付いたのか、私に向かってそっと頭を下げたので、私も同じようにしかえした。
やっぱり気まずいな・・・。
授業の後、陽太と合流する。授業前よりも、陽太の顔色が悪い。勉強が、脳に響いたらしい。
「ちょっと飲み物買ってきていいか?」
陽太が言うので、私の分もお願いした。コンビニで陽太は自分用にコーラを、私用に無糖の紅茶を買ってきてくれる。こういう時、何も言わなくても好みのものを買ってくれる辺り、幼馴染って便利だなと思う。
「ああー、疲れたー」
陽太はコーラを一口飲んで、盛大にベンチに反っくり返る。よほどだったらしい。私は思わすクスクスと笑ってしまう。
「はいいよなー。勉強できて・・・テストも余裕だし」
「そんなことないよ。私だって、勉強してるよ」
「あー、まだ9日間もあるのかよ・・・。宿題もあるってのに」
「陽太は、宿題やらないじゃん」
「やってるわい。ただ、間に合ってないだけで」
それ、やっていないっていうんだよ。
去年の夏も最後の1週間は大変だった。私はほぼ毎日のように陽太の部屋で陽太の宿題補助をしていた。陽太は『これじゃあ、合宿、じゃなくて、缶詰だ〜』等と言っていた。この分だと今年も同じかな?
私は嬉しいけど。
陽太がまた、一口コーラを飲む。どうやらあまりの疲れで動きたくないらしい。私もわざとゆっくり紅茶を飲む。
夏の炎天下、陽太との時間が、何よりも愛おしかった。