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彼女はボクに発情しない

第17章 恋敵協奏曲


【Love Rivals League Concerto】

真夏の日差しが照りつける。空は雲一つなく、抜けるような青空とはこのことだろう。今日も真夏日が予想されている。地面に日傘をさした私と、横に並ぶ陽太の影が色濃く落ちる。

短い生涯を精一杯生きているセミたちのうるさいほどの合唱が響く。

「あー!あぢー」
陽太が暑そうなので、少しでもと思い、日傘をさしかける。本当はピッタリくっついて歩きたいくらいだけど、そうすると学校で噂になるとやらで陽太があまりいい顔をしない。

「ありがとう、陽太。夏期講習付き合ってくれて」

今日から夏期講習だ。私の家はけっこう教育熱心なので、私は当然のように大学受験を見据えた夏期講習の予定が入っていた。私が行くと言ったら、陽太も同じ予備校の講習を入れてくれた。ただし、陽太は予習復習が中心の標準コースだ。

さっきから、浮かない顔をしているのは多分、『なんで夏休みなのに勉強せにゃならんのだ』と思っているからだろう。ごめんね、陽太。

ここで、『付き合ってくれた埋め合わせに、デートしよ♡』とか言えればいいんだけどな。そして、あわよくば・・・。

キス・・・しちゃったりとか?

いけない、いけない、妙なことを考えていたら、顔が火照ってきてしまった。慌てて手で顔をあおぐ。

「も暑いの?」

変なときに陽太は声をかけてくる。顔を近づけないでよ。赤いのがバレちゃう。
ふいっとそっぽを向くかたちになる。
ちょうどそのときに予備校の玄関口に到着した。

「じゃあ、わ・・・私は二階だから」
「ああ、また帰りな・・・」

良かった・・・バレてないよね?
胸を抑えて一呼吸する。

教室に入ると、席が半分くらい埋まっている。前の方にしようかときょろきょろ見渡していると、知っている影が目に入った。

笹本さん?

私と同じくらいのセミロングの髪の毛をひとつ結びにして高く結んでいる。いわゆるポニーテールというやつだ。それに丸い大ぶりのメガネ。全体的にやわかな曲線を描く女性らしい体型の女性は、紛れもなく笹本優子さんだった。

同じ予備校だったんだ・・・。

陽太とのデートを賭けた勝負のことが思い出される。陽太は彼女とのデートの途中でこっちに来たんだよね?
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