第4章 肆
は彼女を強く求めてくる直哉に対して
嬉しそうに目を細め、微笑みを浮かべた。
けれども、重なろうとした唇を指でクッと押し返す。
直哉は、口付けを拒絶された感触に、一瞬だけ目を見開いた。
「直哉様」
名前を呼ばれて、彼女の瞳を見つめ返す。
その瞳の中には少しの毒が揺らいでいる。
「後悔、しないでくださいね?」
「……後悔?」
意味がわからず問い返した言葉は、の手のひらによって強引に遮られた。
口を塞がれ、視界が彼女のまっすぐな視線に埋め尽くされる。
それと同時に、着物越しに伝わる指先の刺激。
乳首を布越しに弄られ、直哉の背筋に電流のような快楽が走り、膝がガクリと折れそうになった。
塞がれた口から漏れるのは、情けないほどに甘い鼻息と、言葉にならない呻きだけだ。
「んっ……!? ……ふー、っ……。……おま、え……っ。……んぐっ、」
直哉の細い目は、快楽と屈辱で潤み、焦点が定まらない。口を塞がれているせいで、酸素が足りなくなり、余計に感覚が過敏になっていく。
廊下の柱に背を預けたまま、ずるずるとへたり込むが
の指が動くたびに、彼の身体はビクビクと跳ね、喉元がクンッと上がって酸素を求めた。
彼は、自分が今、どれほど無様な姿を晒しているか理解しながらも、その刺激を止めてほしいとは微塵も思えていない自分に腹さえ立っていた。
彼女の瞳が、冷ややかに、体も確かな熱を持って注がれる。
見下ろされている自分の顔の情けなさを想像すると、居ても立っても居られないが、それさえも欲していた気がする。