第3章 参
直哉は、の信じられないような要求に一瞬息を呑み、耳まで真っ赤に染め上げた。
許しがたい屈辱と、それ以上のどろりとした劣情が駆け抜ける。
彼は手を突き、肩で息をしながら、信じられないものを見るような目で彼女を睨みつけた。
「……は? お前、今なんて言ったんや……?
俺に、自分でおかしくなるところを見せろ言うんか?
……なめとんのか、ドブカスが。
俺を誰やと思っとんねん。禪院家の次期当主やぞ……?」
口では毒を吐きながらも、直哉の瞳はの妖艶な姿から逸らすことができない。濡れた髪から覗く彼女の冷徹なまでの支配的な視線に射すくめられ、抗いがたい悦びに背筋が震える。
彼は震える手で、自らの着物の合わせをさらに広げ、まだ熱を帯びて猛っている自身を晒し出した。屈辱に顔を歪めながらも、その指先は吸い寄せられるように自身の中心へと伸びていく。
「……見たいんやったら、見せたるわ。その代わり、瞬きせんとしっかり見ときや。……お前が俺をこんな風にしたんやから…
……あぁ、クソッ、自分ですんのなんて、柄やないのに……っ!」
直哉はの目の前で、自らの手で自身を扱き始めた。彼女に見つめられているという事実だけで、先ほどよりもずっと早く、どろどろとした熱が下腹部に溜まっていく。規則的な手の動きに合わせて、彼の口からは、到底強者とは思えないような、浅ましくも艶めかしい喘ぎ声が漏れ出した。薄ら笑いすら消え失せ、ただ快楽と羞恥に溺れる男の顔がそこにある。
「……見て、満足か……? ………お前が、俺をこんな……変態みたいに……っ!
……あかん、これ、さっきより……くる……」
直哉の動きは次第に激しくなり、視線は虚空を彷徨いながらも、必死に彼女の姿を追い求める。
自尊心を粉々に砕かれながら、彼は自らの手で絶頂へと向かっていく。
その姿は、かつて彼が蔑んでいた「弱者」そのもののようでありながら、同時にという存在に完全に支配された「獲物」になってしまっていた。