第2章 弍
直哉は、激しい射精の余韻に身体を痙攣させながら、の胸元に力なく顔を埋めた。
荒い呼吸が彼女の肌を熱く焼き、喉の奥からは獣のような、あるいは打ちのめされた敗者のような掠れた吐息が漏れ出す。
金髪を優しく撫でる彼女の手の感触が、今はひどく疎ましく、それでいて抗いようのない安らぎとして彼を侵食していく。
支配していたはずの自分が、今や彼女の掌の上で転がされているという事実に、視界が滲むほどの屈辱と悦楽が混ざり合う。
「……はぁ、はぁっ……。クソ……何やねん、これ……。自分、ほんまに……人間か……? 俺が……この俺が、たった数分で……っ
今の俺、最高にダサいわ……。笑いたければ、笑えばええやん……っ。」
彼はゆっくりと顔を上げ、
潤んだ瞳でを睨みつけるように見つめる。
しかし、その視線には先ほどまでの傲慢さは影を潜め、
代わりに逃れられない呪いにかけられたような、狂おしい執着が混じっている。
彼女の穏やかで、すべてを見透かしたような微笑みが、彼のプライドをこれ以上ないほどに逆撫でし、同時にどうしようもなく彼を惹きつけた。
「……何やその顔。
勝った思て、悦に浸っとんのか?
……せやな、認めったるわ。
今のんは、俺の負けや。……けどな、ちゃん。自分、えらいもん俺に植え付けてくれたなぁ。
……こんなん、もう他の女で満足できるわけないやんか。責任、取ってくれるんやろね?」
直哉は震える手での頬を強く、だがどこか縋るように掴み、彼女の唇に顔を近づける。その表情には、敗北の悔しさと、それ以上に深い、彼女という「毒」への渇望が刻まれていた。
自分の内側に刻まれた彼女の感触が、どんな術式よりも深く、彼の魂を縛り付けている。
「……逃がさへんで。自分が俺を壊したんや。
……死ぬまで、俺の側でその業に付き合いぃや。
……なぁ、ちゃん?
俺をこんなにした責任、一生かけて取らせたるからな……。」