第6章 漆
は襖をただ見つめた。
(帰ってきた……?
いや、でも…早すぎる。
何かをお忘れになった?
それか、誰かと…一緒にいるの…?)
途端に、直哉が隣の部屋に誰かを引き入れて過ごす。
その考えが浮かんだ。
当然だ、ここは彼の家なんだし、何の不思議もない。
けれど、それなら私はどうしたらいい?
隣で、彼が誰かを愛するのを聞いて
平然としていられるだろうか。
きっと無理だ。
喉が締まる。
誰に締められているわけでもなく、呼吸が浅くなる。
けれど、襖一枚隔てた向こうに居る人影は動かない。
人であることさえ疑わしいほど、音も立てずにそこにいる。
は恐る恐る、襖を開いた
月の明かりに、
一瞬目を背けてしまったけれど。
その隙間の先には
こちらを見つめる直哉の姿があった。