第4章 残る想いと結ぶ誓い
「アホ言え。女んとこで風呂も寝るんも、俺は絶対せぇへん。俺デリケートやねん。」
露天風呂に向かう直前、直哉はぱっと振り返り仁美を指す。
「お前も入れ。」
そう言ってくる直哉に仁美は眉をひそめた。
「うちは綺麗や。あんたと違って汚れてへん。」
仁美はプイッと顔を横に振った。
直哉はジトッとした目で仁美を見る。
「……ほぉん…。」
直哉は一歩近づき、仁美の寝ていた布団を指先でつまんだ。
布団から香る匂いは、自分のモノと仁美のモノ。
そして悟の匂いが、残っている。
布団だけじゃない。
仁美自身からも、ふわりと悟の香が漂っていた。
悟が仁美に触れ抱き締めてたのか、手を握っただけなのか。
だけどそんなことはどうでもよくて、問題はひとつだけ。
仁美はその匂いに気付かないほど、悟の匂いに慣れている。
「……汚れてへん、なぁ。」
仁美はその意味に気づかず、ただ不機嫌そうに腕を組んでいるだけだった。