第4章 残る想いと結ぶ誓い
灯りは落ちていて、薄暗い部屋の奥に布団が一つ。
その布団の横、仁美のすぐそばに、五条悟が静かに座っていた。
悟はずっとそこにいたかのように、仁美の手を優しく握っている。
白い髪が月明かりにぼんやり浮かび、その姿はまるで“守護”のように見えた。
直哉は一瞬だけ息を止める。が、すぐに低く問いかけた。
「……何してんねん、悟くん。」
悟は振り返らずに、仁美の手を包んだまま答える。
「何って……看病だよ。仁美、あのあと廊下で倒れたんだ。放っておけないでしょ。」
直哉は悟の姿を見ても取り乱すことなく、鼻でくつりと笑った。
「……ほんで。人の嫁に、何してんねん。」
悟は手を離さないし、視線もそらさない。
しばらく、二人の間に沈黙が落ちた。
少しの静寂の後、先に動いたのは悟だった。
ふっと視線を下ろし、眠る仁美の頬に指先をそっと添える。
まるで、小さな頃からしてきた癖のように自然な動きだった。