第9章 揺らぐ灯と交わらぬ影
直哉のその態度は仁美の部屋に入っても続いた。
泣きやまない仁美をどうしたら良いのか分からなかったから、ひたすら仁美を宥め続けた。
面倒くさい。
そんなことを思う暇もなかった。
仁美を宥めている間に睡魔が襲い、根負けした直哉は瞼を閉じた。
そして朝になり目を覚ましたら、仁美の姿は無かった。
「……は?」
直哉は体を起こすと、近くに仁美が居ないことを確認する。
直哉が一緒の部屋に居る時に、彼の断りなく仁美は離れたことが無かった。
部屋を出て屋敷の中を見渡しても、仁美の姿を見つけることは出来なかった。
「……なんや、逃げたんか。」
その事実に直面したときに。
直哉はもう仁美を探さなかった。
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あの日から1週間。
直哉はお茶屋に入り浸っていた。
馴染みの置屋から呼んでいるのは白椿では無い。
直哉は適当な芸妓を見繕って自分の相手をさせていた。
白椿は一際賑やかなその部屋の戸に声をかけた。
「失礼いたします。」