第9章 揺らぐ灯と交わらぬ影
けれど実際目の前で直哉の部屋で裸の女が泣いていたのだ。
仁美と住むこの屋敷の中で。
仁美は今度は後ろから直哉の腰に腕を回した。
「ええ加減にせぇや!!ほんまにしばくぞ!!」
先程より強い怒りを仁美にぶつける。
仁美はそれでも直哉から手を離さなかった。
「…ほな説明してよ……なんであの人、あんたの部屋で裸で泣いとったん。」
強く直哉にしがみ付き、仁美の声は震えていた。
その仁美を見下ろして、直哉は振り上げていた手を下ろした。
元々着崩れていた服はさらによれて、直哉は大きくため息を吐いた。
「向こうが来たんや。俺の子作る言うてな。本家の思惑は知らん。言われたから抱いただけや。」
仁美は一瞬息をのんだ。
直哉を掴んでいる手に力が抜ける。
「……ほんまにうちやのうてもええん? 他の女でも子供欲しいん。」
涙を溜めてそう言った仁美に、直哉は一瞬だけ目を伏せた。
仁美の肩に手を置くとその体を自分から離した。