第9章 揺らぐ灯と交わらぬ影
薄暗い部屋に散らばった女の服。
ベットには裸の女が蹲ってベットに横たわっていた。
胸が苦しくて、息さえ出来なくなりながらも、仁美はその光景から目を離すことは出来なかった。
「っ……うっ……。」
部屋の中にいた女の声が漏れてきた。
泣き声を我慢するような声に、仁美は意識を戻した。
部屋の暗さに目が慣れて、女の体が震えていると気が付いた。
夫の部屋に居た女は、体を丸くして声を殺して泣いていた。
明らかに情事の痕を残して。
仁美はなにも考えられなくて、それでも体が勝手に動いた。
廊下を走り、直哉の後を追った。
すぐに直哉に追いつくとその腕を掴んだ。
「直哉!」
「なんや!」
振り返ったのは機嫌の悪い顔だった。
そんな直哉の顔を見ても、仁美は一歩も引かなかった。
「…あんた、なにしたん?」
「はぁ?なにがや。」
何をしたかなんて、聞かなくても分かることだろうに。
わざわざ聞いてくる仁美に直哉の目が歪んだ。