第8章 禪院の道具と女の本音
直哉がベットから体を起こしてベットが軋んだ。
情事の後に少しばかり仁美の部屋で寝ていたようだ。
直哉は軽く髪を掻き上げて、散らばった服に手を伸ばした。
「!」
その直哉の腕を掴んだのは、まだベットに横たわっている仁美だった。
その体には二人の情事の痕がくっきりと付いている。
仁美は振り返った直哉の目を真っ直ぐ見て言った。
「……ここで寝たらあかんの?」
直哉は仁美の部屋で朝まで寝たことは無い。
それは仁美だけではなくて、女と一緒に一晩寝ることを直哉が嫌っているからだ。
それを分かっていても、仁美は直哉から手を離さず目を逸らさないでジッと彼を見た。
「…俺は女の部屋で寝ることはせぇへん。」
先程までベットの中で過ごした彼とは、一段低い声だった。
いつもなら引いていた。
だけど仁美はさらに掴んでいる手に力を入れた。
「でも……私ら夫婦や。一つの部屋で寝るくらい、おかしないやろ?」
「……………。」