第8章 禪院の道具と女の本音
直哉はしばらく仁美を見下ろしていた。
だけどその表情には怒りは無かった。
「……風呂入る。」
「…。」
直哉のその一言に仁美は手を離した。
「お前も入れ。」
「、あ…。そうだね。」
仁美はすぐに自分の服に手を伸ばす。
その間も直哉は腕を組んでジッと仁美を見ていた。
(……これって一緒に寝てくれるんかな…。)
仁美が服を着るのを確認すると、直哉は仁美の部屋を出る。
仁美が後を付いてきても何も言わない。
風呂場に行く回廊を二人で歩いた。
この屋敷にはたくさんの使用人がいるはずだが、なぜか今は一人も見当たらない。
結局、一緒にお風呂に入ることになったが、直哉はそのまま仁美と一緒に部屋に戻ってきた。
散らかしたはずの部屋は綺麗に掃除されていて、直哉が文句も言わずにベットに入ったのを見て、仁美も同じようにベットに横になる。
体を真っ直ぐにして目を瞑っている直哉の横顔を隣で見ていた。
いつもなら広く感じるベットが、今日は狭くて……。
暖かかった……。