第8章 禪院の道具と女の本音
仁美は嫌そうな顔をしながら直哉の着物を掴んだ。
そんな仁美を見て直哉は目を細める。
(……ほんま嫌そうな顔やな…。)
実際直哉は会合続きで花街を使ったが、芸妓を抱いていない。
それを仁美に言ったところで、この女は納得なんてしないだろうからあえて言わない。
直哉自身仁美に言ったように性欲は程よく満たされていればいい。
誘われたら乗るし、その気になれば口説くだろうが、そんな頻繁に性欲が湧くわけでもない。
至って普通の性欲だ。
(……ムカつくわ。俺のこと性欲の塊みたいに思っとるんか。……絶対泣かせたる。)
怒りに震えながら直哉の着物を脱がしていく仁美の指を見ながら、直哉の目はいっそう細くなる。
どうせこの女は嫌々服を脱がせて目も合わさずに抱かれようとするのだろう。
「……………。」
仁美の指が直哉の上半身を脱がせたところで止まった。
白粉の匂いが纏った服を脱がせて、ジッと直哉の引き締まった体を見ている。