第8章 禪院の道具と女の本音
今度は直哉の手を払わなかった。
ジッと顔を覗いている直哉の目から顔を逸らすことが出来なかった。
「う、うちはな、直哉は気にせんと外で好きにしとるのに、うちだけ家に縛られとるんがずるい思っとるだけや。」
「ずるい?俺は遊んどるわけやないぞ。」
今度は直哉の方から手を離した。
はぁ。と大きなため息を吐いて、呆れたように髪を掻き上げる。
「禪院家の女は、家守ってこそなんぼやって言うとるやろ。」
絶対に口を出させない直哉の言葉に、仁美は膝の上で拳を握った。
「ほな、うちはうちなりのやり方で、この家守るわ。」
「……そら。あかん。」
グッと直哉の体が近くに来て、ベットに置いていた仁美の手のすぐ横に直哉の手がベットを沈めた。
「また悟くんか? 言うてみ、仁美。」
息が触れ合うくらいに、直哉の唇が近い。
咄嗟に目が彼の口元を見てしまう。
仁美のその反応に、直哉の目元が緩んだ。
「言うてみぃ。仁美は、誰の嫁や?」