第8章 禪院の道具と女の本音
仁美の言葉に、今度は直哉の方が顔を顰める。
「会合が続いとっただけや。」
「へぇ……花街で?ずっと?うちらの結婚のお披露目より長いやん。」
「なんで花街やて……。」
言葉にしてすぐに、直哉は自身に付いている白粉の匂いに気がついた。
そんな直哉を仁美はジトッと見る。
「相変わらず、そのままうちのとこ来るんやね。」
「……………。」
面倒くさ。
怒っている仁美に対して、そう思っても、さすがに言葉にはしなかった。
直哉は膨れて顔を晒している仁美を見て、ふと口元を緩ませた。
「なんや。白椿に嫉妬して、出迎えもせんかったんか?」
わざと煽るよな物言いで笑いながら仁美の顔を見る。
「は?嫉妬ちゃうし!」
仁美はすぐに直哉の言葉に反応して、直哉に顔を向けた。
仁美に顔を向けられて、ここぞとばかりに直哉の手が仁美の顎をすくい上げる。
「ほな、なんでそない怒っとるんや。」
そう言った直哉の顔は、答えは他に無いとでも言っているように堂々としている。