第7章 禪院と事情
悔しそうに顔を赤くさせて謝る顔を見て、直哉はふっと鼻で笑った。
「……随分、元気そうやな。」
仁美は少しだけ目を伏せて答える。
「返命使ったら、いつもやったら一週間は寝込むのに。……禪院家の医療術、すごいね。」
直哉はその言葉を聞いて、しばらく仁美の顔を見つめる。
「……調子ええんか。」
不意に、直哉がそう聞いた。
仁美は一瞬、その意味が分からず目を瞬く。
「え……?」
「体や。」
仁美は少し考えてから、小さく首を振った。
「……全然、平気。」
その答えに、直哉は何も言わずに仁美を見つめる。
仁美の体は、長いあいだ悟の呪力で“回されて”きた。
本来の巡りとは違うやり方で、無理やり整えられていた。
細かすぎるほどの呪力操作ができる悟だからこそ、可能だったやり方。
けれど本来の術式の相性は違った。
悟と仁美の術式は相性が悪かった。
仁美の術式と噛み合うのは、悟ではなく直哉の呪力の流れの方だった。