第7章 禪院と事情
「…ほぉーん…。俺と居るね…。」
直哉は肩肘を立てて、しがみ付いている仁美を目を細めて見て言った。
「……まんまと悟くんの腹黒に、簡単にハマっとったくせに?」
「………………。」
「『悟くんはそんなことせん』言うて、ほんま自信満々やったよな。」
「………………。」
「自分で決めたみたいな顔しとって、結局 悟くんの手のひらでコロコロ転がされとっただけやのに。」
「………………。」
「なぁ 仁美。今どんな気分なん?どんな顔しとるん。」
「………………。」
ネチネチ、ネチネチ攻撃してくる直哉の言葉に、仁美は何も言い返せずに、ただ直哉の胸元に顔を押し付ける。
ずっと続いていた直哉の小言の合間で、仁美はぽつりと呟いた。
「……ごめんなさい。」
直哉は一瞬言葉を止めると、仁美の顎に指をかけて顔を上げさせる。
「謝る時はな、目ぇ見て言え。」
勝ち誇ったような顔の直哉に仁美は唇を噛み、悔しそうに視線を上げる。
「……ごめんなさい。」