第6章 檻の中の蜜と矜持
「五条家が、何も考えずに財閥の娘で、特殊な体で、反転持ちの女に近づかせるわけないやろ。お前はな悟くんの“善意”にハマったんやなくて、五条家の都合にハマったんや。その結果がこれや。」
直哉の手が先程まで握っていた仁美の手に触れた。
仁美はビクッと指を震わせたが、直哉はその仁美の指先を見て自分の指を絡めた。
「本家は動いた。あの馬鹿兄貴はわざと呪力浴びた。お前は反命引きずり出されて、ぶっ倒れた。悟くんに絆されて、術覚えて、人脈広げて、賢う立ち回っとるつもりやったかもしれんけどな。結局、禪院家を敵に回しただけや。」
絡めた仁美の手を引き、直哉は自分の胸元で仁美の手を握り直した。
「……悟くんはな、お前取り戻すために、表に出てきとる。お前が禪院家に切られる流れになることも、本家が“危険物”扱いすることも、全部、計算の内や。禪院家から放り出されたら、次にお前の居場所になるんはどこや。それが、あいつの目論見やろ。」