第6章 檻の中の蜜と矜持
仁美は、気まずそうに視線を逸らした。
その仕草を見て、直哉はすぐには何も言わなかった。
少しだけ間を置いてから、握っていた手を離しベッドに上がる。
そしてそのまま、仁美の隣ではなく、正面に回り込むように横になった。
布団の中で二人。距離が近く向かい合う。
「……どないしたん。」
仁美がそう聞くと、直哉は肩を動かし小さく息を吐いた。
「変な体勢で寝とったからな。体バキバキや。」
笑いながら軽い言いうが、仁美がまだ顔を顰めているのを見ると、直哉はふっと笑った。
「……ほんま、分かりやすいな。お前。悟くんの戦略に、きれいにハマっとる。」
直哉の言葉がどんな意味か分かるから、仁美の眉間のシワが濃くなった。
「悟くんの腹の中、どこまで見とった?優しい顔して、世話焼いて、弱っとるとこに手ぇ出して、術式教えて、居場所作って。……あいつが何も考えとらんと思っとったんか。」
仁美から目を逸らさずに真っ直ぐ目を合わせて、直哉は続けて言った。