第6章 檻の中の蜜と矜持
仁美は直哉の話を黙って聞いていた。
きっと悟の思惑は直哉が話したところなのだろう。
だけど、今までずっと一緒に居た悟を思い返すと、直哉の話はまるで他人のように耳に落ちていた。
そんなことを直哉に言ったら、彼の機嫌がもっと悪くなると分かっていたので、口に出すことはしなかった。
仁美はモゾッと動くと目の前の直哉の胸の中に顔を埋めた。
直哉の胸元に顔を擦り寄せて、彼の腕の中にその身を預けた。
「……で。お前は、どうする?」
直哉は自分の胸に顔を隠している仁美を見ながら、短く聞いた。
仁美は、すぐに答えなかった。
視線が揺れ、伏せられる。
二人で居る部屋に沈黙が落ちる。
直哉は、その沈黙を割るように言った。
「言うとくけどな。俺とおる選択したら、お前、死ぬかもしれへんで。本家はもう、お前を“道具”やなく“不安定要素”として見とる。次は、罰やのうて、処分の話になる。」
仁美は、ゆっくりと息を吸った。
それから、やっと声を出す。