第6章 檻の中の蜜と矜持
伏せられた睫毛。
僅かに乱れた髪。
無防備な横顔。
仁美は、自分の手を見つめる。
ずっと握られていたのだろう。
指先の感覚が、ほとんど残っていない。
それでも、その温度だけははっきり分かった。
視線を上げ、直哉の顔を見る。
すると、その気配に反応したのか、直哉がゆっくりと目を開けた。
一瞬、瞬きをして、それから仁美を認識すると、短く言った。
「……起きたんか。」
声は淡々としていて、心配そうには聞こえない。
けれど、その目の奥に、ほんのわずかな安堵が滲んでいた。
仁美は、掠れた声で尋ねる。
「……ここ、どこ……?」
戸惑っている仁美の指先に自分の指を絡めて直哉は言った。
「俺らの家や。」
その言葉に、仁美は戸惑ったように眉を寄せる。
意味を咀嚼しきれず、視線だけが宙を彷徨う。
そんな様子を見て、直哉は鼻で小さく笑った。
「……随分と本家に目ぇ付けられたな。」