第6章 檻の中の蜜と矜持
それでも、手は止めなかった。
仁美の体内に、別の呪力が混じっているのを感じる。
澄んでいて、強くて、やけに馴染んだ流れ。
——五条悟の呪力。
直哉は、舌打ちをした。
「……ほんま、気に入らん。」
低く吐き捨てながらも、仁美の手を離すことはしなかった。
自分の呪力で上書きするように。
歪みを抑え込むように。
その横顔は、“死んでも構わない”と言った男のものとは、まるで違っていた。
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ーー
ーーー
仁美は、ゆっくりと目を開けた。
知らない天井だった。
木目の走り方も、灯りの位置も、見覚えがない。
意識はまだ靄がかかったままで、どこにいるのかを考えようとして、うまく思考が動かない。
そのまま視線を落としたとき、手元に違和感を覚えた。
——握られている。
仁美の手を包むように、誰かの手があった。
そちらを見ると、ベッドの脇に腰掛けたまま、直哉が眠っていた。