第6章 檻の中の蜜と矜持
直哉は躊躇なく仁美の手を取った。
指を絡めるでもなく、ただ、掌で包むように。
——悟と同じように。
その瞬間、ぞわりと嫌な感触が走る。
呪力が歪んでいる。
流れが不規則で、回路が無理やり繋ぎ合わされている。
溜め込まれたもの。
引き戻されたもの。
まだ巡りきっていないもの。
直哉は眉を寄せて言った。
「……なんやこれ。」
反射的に、探るように自分の呪力を流す。
すると、はっきり分かった。
この体は、“整えられること”を前提に作られている。
外からの呪力を受け、流れを矯正され、均されることで、保たれてきた体。
簡単そうで、簡単ではない。
少し量を間違えれば、逆に負担になる。
質を誤れば、回路が拒絶する。
仁美に合わせて呪力を調整するたび、直哉の内側の呪力が、目に見えて削られていく。
(……キツ。)
六眼の悟ではない。
こんなことを続けていたら、自分の方が先に呪力切れを起こす。