第6章 檻の中の蜜と矜持
「幼少期から断続的に、しかし長期間。仁美様の体は、五条悟の呪力を受けて回ることで安定してきました。現在の返命も……その流れを前提に、組み上がっている可能性が高い。つまり……外部から呪力を補填するなら、最も適合するのは——五条悟です。」
黙って話を聞いていた直哉に別の医療術師が続ける。
「質も量も、適合率も。五条悟以上は考えられません。」
沈黙が部屋に流れ仁美の浅い呼吸だけが残った。
「五条家に連絡を入れれば……呪力の補填と、術式の制御が——」
「要らん。」
術師の言葉を遮り、即決で直哉は判断を下した。
空気が一瞬止まり、困惑が部屋を包んだが、直哉は腕を組み直し、はっきりと言った。
「五条家は呼ばん。」
医療術師たちの間に、ざわめきが走る。
「ですが……仁美様の体は、五条悟の呪力で——」
「呼ばん言うとるやろ。」
低い声で威圧するも視線は仁美から外れない。
「……このままでは、最悪——。」
直哉は、その言葉を遮るように続けた。
「持たんのやったら、死んでも構へん。」