第6章 檻の中の蜜と矜持
告げたのは、事務的な声だった。
「出入りは最低限。会話は禁止。食事は置く。必要なものは与えない。」
それだけ。
仁美は、何も言わずに頷いた。
扉が閉じる音は、驚くほど静かだった。
だが、その静けさこそが、この罰の本質だった。
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最初の一日は、まだ耐えられた。
座って、呼吸を整えて、自分の体調を把握する。
だが二日目。
三日目になると、違いがはっきりと現れる。
外から遮断された呪力。
流れない空気。
何も考えずに過ごす時間。
体が重くなる。
指先が冷える。
呼吸が浅くなる。
誰も触れない。
誰も声をかけない。
それは、仁美にとって生き方そのものを断たれる感覚だった。
それでも。
仁美は横にならなかった。
膝を抱え、背筋を伸ばし、畳に座り続けた。
七日目の終わり。
静の間の扉が、音もなく開いた。
「……以上だ。」
それだけ告げられて、仁美は外へ出された。