第6章 檻の中の蜜と矜持
直毘人は一拍置き、はっきりと言う。
「禪院家の“顔”だ。外でどう見られるか。誰の隣に立つか。どんな態度を取るか。それらすべてが、禪院家そのものになる。」
仁美は直毘人の言葉を聞き、頭を俯かせたまま唇を噛む。
そんな仁美を見下ろして、直毘人は続けた。
「感情を持つなとは言わん。だが、表に出すな。選ぶ自由はある。しかし、振る舞いは選べない。」
そう言って直毘人は仁美を部屋から追い出す。
彼女に罰を与えるために。
仁美が通されたのは、禪院本家のさらに奥。
普段、誰も使わない回廊の先にある一室だった。
「静の間」と呼ばれる場所。
畳敷きの小さな部屋。
床の間もなければ、飾りもない。
障子はあるが、外は見えない結界が張られている。
風の音も、人の気配も、ほとんど届かない。
ここでは、術式も使えない。
仁美が無意識に行っていた呪力の循環すら、鈍くなる。
「……七日間だ。」
告げたのは、事務的な声だった。