第5章 白銀の面影と漆黒の断絶
「……そうだね…。ちょっと、距離置いた方がええと思う。」
仁美の言葉に悟は眉をひそめることもなく、淡々と言った。
「離れても、何も変わらないよ。困るのは仁美の方だ。」
その言葉に、仁美は目を伏せた。
「……もう倒れんようにする。悟くんに、迷惑かけんようにするから。」
悟は小さく息を吐くと、もう一度ベッドの縁に腰を下ろした。
俯いている仁美の前に手を伸ばし、そっと頬に触れる。
今度は、仁美はその手を払わなかった。
視線を落としたまま、じっと動かない。
悟はその様子を見て、低く言った。
「……迷惑だなんて、思ったことない。」
ゆっくりと仁美が顔を上げる。
二人の視線が、静かに重なった。
悟は少しだけ間を置いてから、続けた。
「俺が高専に行く条件で、五条家から、元服の儀を受けろって言われた。」
御三家を抜けて高専に入ることが、加茂家と禪院家と敵対する訳では無いと示す為だ。