第5章 白銀の面影と漆黒の断絶
しばらくの沈黙の後、声を出したのは悟だった。
「高校からは東京に行くつもりなんだ。」
仁美は一瞬、目を見開いた。
「……東京?」
驚きは確かにあった。
けれどそのあと、ほんのわずかに安堵の色が混じったのを、悟は見逃さなかった。
胸の奥で、何かが冷たく沈む。
悟は何も言わずに身をかがめ、再び仁美の唇に口づけた。
今度は、いつもと違う。
舌が絡み、逃げ場を塞ぐようなキスだっあ。
仁美は思わず顔を歪めた。
「……っ」
その反応を見て、悟の指先に一瞬だけ力が入る。
だが次の瞬間仁美は悟の胸を押し、はっきりと突き放した。
悟は、視線を外さないまま言った。
「……もう、術式はこれ以上教えない。」
その言葉は断定だった。
理由も、余白も与えない。
仁美は一瞬、唇を噛んで悔しさを隠さなかった。
けれど、悟の目を見たまま、声は出さなかった。
その沈黙が、悟には十分だった。
しばらくして、仁美が口を開く。