第1章 壊れぬ妻と飽きない夫
仁美 の腰を引き寄せ、直哉は枕元に押し倒すように体重を預けた。
仁美の手に絡む指。
直哉の熱を帯びた息づかい。
唇を離した瞬間の互いの息の乱れた。
直哉が、仁美 の服のボタンに手をかけながら呟く。
「……なぁ。今日、2回出したからさ。ちょっと薄いで?」
指先が肌に触れるたび、直哉の声は低く、熱を帯びていく。
仁美 は笑った。
「じゃあ、うちが子供できひんの、直哉のせいやな。」
「は?俺のせいなん?ひっど。」
「だって薄いらしいし?」
挑発するように微笑むと、直哉は一瞬きょとんとした後、声を立てずに笑い出した。
「……ほんま、言うよなぁ、仁美は。」
そのまま彼はゆっくり服を脱がせながら、ふっと真面目な声を混ぜる。
「しんどかったら言えよ。返命使ったんやろ。」
唇が仁美 の鎖骨をなぞる。
ピクッと仁美の肩が跳ねる。
肌に触れる手が、優しくもあり、意地悪でもある。