第3章 恋の始まり
ここは中原さんの車の中。
今日から中原さんが家まで送ってくれることになったのだ。
まさかタケルくんが知っていたなんて、、、。
ここ最近誰かに付けられている気がしていた。
でも殺気などはないので、そこまで気にはしていなかった。
それになんとなく犯人の目星はついているのだ。
おまけにいざとなれば倒せる自信がある。
社長から万が一に備えて特訓を受けたおかげだ。
でも中原さんは心配してくれていたのでお言葉に甘えさせてもらった。
実をいうと嬉しかった。
中原さんと再会してからの2週間、時間が空けばちょこちょこ施設に顔を出してくれている彼に少しずつ惹かれていた。
もう少しだけ長く一緒にいたい、、、。
そんな叶わない願いが叶ったのだから。
中原さんのお仕事は判らないが、恐らく忙しいはず。
よく電話が鳴るし、慌てて仕事へ向かうからだ。
恥ずかしくて聞けないが、彼女さんがいるかもしれない。
中原さんはとてもお洒落だし、顔も格好善い、女性が放っておかないだろう。
それに私のことで彼を巻き込みたくないのだ。
「此処か?」
そんなことを考えていたらあっという間に家に着いた。
中原さんの言葉に頷き、お礼の言葉を伝える。
「気にすんな、これ俺の連絡先だ。」
ポケットからスマートに出された紙には中原さんのメールアドレスが書かれていた。
"本当にありがとうございます、あとでメール入れますね!"
「ああ、頼む。じゃ、また明日なっ!」
ニカッと歯を見せて笑う笑顔が眩しかった。
中原さんと別れて部屋へ入ろうとした時、人の気配を感じた。