第7章 ぼんさんと三人
「こんちゃっちゃ〜、あ、おんりーもういたんやね!」
「オラフくん」
正面出入口からやって来たのは、白い格好をした男の子だった。また僕と同じくらいの子だ。
「その声はオラフくん?」
「そうですよ、ぼんさん」
ぼんさんの問いかけに応えるように、オラフくんと呼ばれた子はぼんさんの手を握った。ああ、オラフくんの手だねとぼんさんが言ったから僕は驚いた。
「ぼんさん、手を触っただけで分かるの?」
するとぼんさんは僕の方を向きながらはにかんだように笑った。
「目が見えないからね、聞いたり触ったりして誰なのか覚えるようにしているの」
「へぇ……僕の手も触ったら分かる?」
「いつか覚えるかもしれないね」
「覚えて覚えて!」
僕は飛びつくようにぼんさんの手を握ると、ぼんさんは笑って子どものワガママを許してくれた。だけど後ろでオンリーが、こう釘を刺した。
「俺とオラフくんの手はよく間違えてますけどね、ぼんさん」
「た、たまに間違えちゃうのよ……てかオンリーちゃんはあんま手握らせてくれないじゃん」
「え、握りたいんですか?」
「その言い方はやめてよ……」
オンリーの冗談な投げかけにぼんさんは困ったような顔をしながらも笑っていて、僕も一緒になって笑った。この子たちといるとちょっと楽しいかも。僕はすっかり、ここに連れて来た友達のことは忘れていた。