第7章 ぼんさんと三人
「そういえば、メンは? 時計塔の文字盤がズレているみたいだから直してもらおうと思ったんだけど……」
とぼんさんはオラフくんの方を向いて問い掛けた。オラフくんは答えた。
「メンは寝坊したからあとから来るって。もう少ししたら来るんじゃないですか?」
文字盤を直すくらいなら、きっと大人なんだろな、と僕は勝手にそう思っていた時、正面出口の扉が大きく開いた。寝癖をつけたままの男の子が勢いよく入ってた来たのだ。
「ちょっとぼんさん、何してるんすか!」
「おー、その声はメンじゃん」
「メンじゃん、じゃないですよ!」メンと呼ばれた男の子はなぜかずっと怒っていた。「文字盤がズレてるじゃないですか! この前直したばっかなのに!」
「ごめんごめん、見えないもんだから、気づかなくてね?」
「はぁ〜、世話の焼けるじぃさんで……」と言いかけて、メンは僕と目が合った。「誰だ? コイツ」
「は、初めまして、ユメトです」
僕はメンに怒られるかと思って、緊張しながら自己紹介をした。
「ああ、ぼんさんがまた子ども誘拐してきたんだ」
するとなぜかメンがそう言い出し、僕は全然話についていけなかった。
「いやいや、違うのよ……たまたま遊びに来た近所の子」
しかしぼんさんの話口調は穏やかのまま、僕の肩に手を置いてメンに紹介してくれた。
メンはぼんさんに対して怒っていた態度とはまるで正反対に丁寧にお辞儀をして、名乗ってくれた。
「どうも、おおはらメンです」
「ど、どうも……」
そのギャップに驚きが隠せなかったのも、今となってはいい思い出だ。