第6章 人柄
その時、誰かが時計塔の正面出入口から入って来た。僕と同じくらいの子どもだったけど、緑髪の知り合いはいない。
「ああ、その声はおんりーちゃん? また来てくれたのね」
とぼんさんが立ち上がるから僕は一緒に、おんりーと呼ばれた男の子の前まで案内してあげた。おんりーはすぐに僕の方を見た。
「この子、誰……?」
「俺のことを助けてくれたのよ。そういえば、まだ名前を聞いていなかったね?」
「僕は、ユメト。友達と来たんだけど、置いていかれちゃって」
「そんなの友達じゃないじゃん」とおんりーは言った。「もう少ししたらオラフくんとメンも来るよ」
「オラフくんとメン?」
「そ、友達なんだ。友達になってくれると思うよ」
「でも……」
僕はそこら辺に散らかったままのシャンデリアの破片を見回した。こんな悪いことをした僕に、新しい子と友達になってはいけない気がしたのだ。
「ああ、その前におんりーちゃん、床の掃除をしてくれる?」見えないのに何を察したのか、ぼんさんがそう言った。「急にシャンデリアが落ちてきたみたいなのよ。ユメトくんも手伝ってくれるでしょ?」
どうやらぼんさんは、僕がした悪いことを秘密にしてくれるみたいだった。
僕は大きく返事をした。
「うん!」